同じ穴のむじなと輪廻転生

映画鑑賞日記

黒沢清監督 蛇の道

蛇の道 [ 哀川翔 ]

価格:2,200円
(2020/12/4 02:04時点)

やっとである。

今まで見れてなかった『蛇の道』。

ついに見た。

 

感想を一言でいうと、超絶演出で面白い。

 

ストーリーは、哀川と香川の復讐劇。

しかし、ただの復讐劇ではなく、演出により異様な空気間を醸し出している。

 

裁きの舞台となる廃工場は、まるで地獄である。

裁かれる者に対して制裁を与えていく。

その距離感は天と地のごとく遠く、縮まることはない。

 

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演出のポイント

以下、演出のポイントを挙げていく。

 

哀川を死神のように見せている。

淡々と悪をこなし、他人の命を操っているようだ。

 

講義室での講義では、まるで生徒は生きていない。

死人のように黙り、ただ講義を受けている。

講義内容は空間と時間の方程式を扱っている。

哀川は空間と時間について特殊扱い方を知っているはずである。

少女がヒントを与えて何か特別な方程式を解いたようだ。

 

講義が終わり生徒が帰るとき、哀川は生徒が帰る方向を振り向くと誰もいない。

まるで存在してないかのように消えている。

 

生徒の一人の少女が香川と対面するシーンがある。

香川と顔を合わせると、徐々に香川の表情が変わっていく

まるで過去に会ったことがあるような顔である。

少女の表情はまるで霊のようだ。

 

ラストシーン

ラストシーン、香川との出会いであるが、よく見ると最初に見せた出会いの回顧シーンと違うことに気づく。

最初のシーンでは香川が声をかけているが、ラストでは哀川が声をかけている。

つまり、2回目の出会いとなる。

そのシーンも静寂で、色あせた景色、人は誰もおらず、まるであの世のように静寂である。

哀川の表情のアップはまるで香川を知っており、状況も知っているようだ。

 

つまり、香川は地獄の経験を繰り返しているのである。

それはカルマによる経験の永遠の繰り返し。

善因善果、悪因悪果の繰り返しである。

 

そう感じると、この映画の登場人物は全員死人なのではと気づく。

下界の人との交流は全くない。哀川、香川の妻さえも登場しない。

生徒の死者と香川の関係者のみで演出されている。

 

カルマによる経験の永遠の繰り返し、これが作品のテーマなのではと感じた。

とても重い映画であった。洗練された演出、大傑作である。

 

蛇の道 [ 哀川翔 ]

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